宿をやっていると、ゲストからのメッセージには二つの顔があると気づきます。困って投げかけてくる質問と、関係を育てていく会話。どちらも「できる限り速く、正確に」が答えで、それを24時間365日、誰がやっても同じ温度で——となると、人間にはどうしても無理がありました。
シフトの隙間、引き継ぎの漏れ、人によって変わる返事。完璧を求めるほど、現場はすり減っていく。でも、完璧でなくていいんです。人が応対しても答えは揺れる。だったら、人間の基準を超えていればいい。そこから磨いていけばいい。私たちはそう考えました。
だから、わざと一呼吸おいて返します。瞬時すぎないことが、人肌になる。そして回を重ねるほど、その人のことが少しずつ深まっていく。速さと正確さは前提として、ここで作りたかったのは、夜中の問い合わせにも灯がともっているような、覚えていてくれる宿の人です。